特集:インディーズで るという誇り 〜SUAVE(スアベ)〜
取材・文:リエキンリエコン

 
suave=柔らかな、滑らかな、穏やかな、耳に快い、まろやかな(小学館西和辞 典)。そんな意味を持つ名前を持つインディーズレーベルスアベ。スウィートな方法 で、夢のような理想のレーベルを目指している。

 スアベレコードの設立は2001年にホルヘ・ベルガラ、アルフォンソ・クアロン、 カミロ・ララ、ホセエンリケ・フェルナンデスの4人によって。アルフォンソ・クア ロンは言うまでもなくメキシコ映画の重要な監督の1人で るが(「Great E xpectations」「Y Tu Mama Tambien」など)、カミロ・ ララはのメキシコバージンレコード社の設立者の1人で り、プラスティリーナモッ シュやティタン、エルグランシレンシオ、アレックスシンティックのジェネラルマネー ジャーを経ている。

 スアベの始まりは、メキシコ映画「y tu mama tambien」(設立 者の1人で るアルフォンソ・クアロンが監督)のサントラ。カフェタクーバのメン バーで るホセロのソロプロジェクトも、今月のアーティストで るボロバンもスワ ベから出ている。

 スアベがどんなところかっていうのは、彼等が協定を持つ他のレーベルを見れば一 目瞭然で る。emperor norton、matadorなど。メキシコに於 けるプロモーション、発売を行っている。小山田圭吾=コーネリアス、タナカトモユ キ=ファンタスティックプラスティックマシーン、ティタンやプラスティリーナモッ シュのプロデューサでも るDj Me Dj You、Le Hammond I nerno、同じくArling And Caneron、第四のビースティーM oney Mark、Ladytron、Stephen Malkmus、*Ba basonicosで る。渋谷系な気がしてならないが。。。

メキシコ国内に目を向けると、スワベは新しいプロジェクト、新しいアーティスト へ積極的に可能性を広げている。この度「EMERGENTE un retrat o de la escena alternativa mexicana」とい う2枚組CDが発売されたが、収録アーティストはメキシコの30グループ、しかも 全員がまだ無名なアーティストばかりで る。(詳しくはコチラ)

 この試みは、未だ門戸の狭いメキシコロック、オルタナティブシーンに対するスワ ベの積極的姿勢が顕著に現れている。実際は素晴らしいアーティストが沢山いるのに、 それに目を向けないメキシコ大手レコード会社を嘲笑うかの様で快い。そんな彼等の パンクな姿勢、インディーズで る誇りを感じてならない。

 
 スアベの「何か新しくて、何か違うモノを聞く!という感情を伝染させたい」とい うコンセプトは、メキシコに於いてで ろう。実際、情報や物質、選択肢が氾濫する 日本では何も珍しくないモノだろう。例えば、日本人のレアや、コアなものを追求す る姿勢は、きっとメキシコ人には少ないだろう。限定品を火花を飛ばして買いに行く 事も少ないだろう。音楽や服飾に対する興味は れど、日本人よりはそのマニア度は 低いだろうし、メキシコの多くの国民の経済状況では難しい事が多いで ろう。そし て大多数の人が、何か新しいモノや、異なったモノを聞いてみたいという気持ちは まり持っていないで ろう。

 メキシコシティの音楽シーンを見てみるとそれが良く分かる。クンビア、サルサな どのトロピカルが断トツに1位で り、次にポピュラー音楽で り、次にランチェー ロで り、ジャズ、クラシックと続き、最後にいわゆるロック、オルタナティブがく る。(ポピュラー音楽は、シャキーラや、パウリーナ・ルビオ、アレハンドラ・グス マン等で る。)シティ以外の場所ではこれらの配分がが更にトロピカルに寄るし、 メキシコ北部ではノルテーニョなども加わってくる。
 もちろんテクノ、トランスなども台頭してきている。メキシコ各地で毎週幾つもの レイブが行われているし、多くの若者を動員している。
 それはともかく。。。

 なんだかスベの回し者の様に(このHPの最初から)これまで紹介してきているが、 実際に私は彼等の姿勢が非常に気に入っているし、彼等こそ国境を越えようとしてい るからだ。彼等の存在が例えマスを変えなくとも、その試み、姿勢は評価に値するだ ろう。これからの彼等の活躍に個人的に期待している。

 キュートでスマート。ポップでグローバル。ビバ!SUAVE!

HP:www.suaverec.com

 
*Babasonicos(ババソニコス):

1991年結成、アルゼンチン出身。
デビューアルバム「Pasto(パスト)」1992年
2ndアルバム「Trance Zomba」1994年
3rdアルバム「Dopadromo(ドパドロモ)」1996年
4thアルバム「Babasonica(ババソニカ)」1997年
5thアルバム「Miami」1999年
最新アルバム「Jessico」2001年
1992年「Pasto」にダニエル・メレロ、グスターボ・セラッティ参加。ソー ダステレオのオープニングアクトを務める。(ESTADIO OBRAS SANITARIAS)
1994年INXS、Despeche Modeのオープニングアクト(ESTADIO DE VELEZ SARFIELD)
1996年ラテンアメリカツアー、アメリカ公演実現
1997年12月ブロードウェイシアターにて、シングル「Egocripta」の プレゼンテーション。
1998年ストーンローゼスの元ボーカル、イアン・ブラウンのアルバム「Gold en Greats」に楽曲提供。コソボ難民支援の為のコラボレーションアルバム に参加。U2のオープニングアクト(ESTADIO DE RIVER PLATE)
1999年ジャミロクアイのオープニングアクト(ESTADIO DE FERROCARRIL OESTE)
2000年彼等のレーベルBultaco Recordsから「Vortice  Marmixta」「Vedette」「Babasonica Electron ica」「Groncho」発売。
2001年アルバム「Jessico」にAndrew Weiss参加。